2005年11月28日
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マヴカレ魔法少女! 「コトキ ケイ」 キルタイムコミュニケーション

Written By: 川俣 晶連絡先

 これは、ファンタジー系ポルノグラフィーとしては、かなりの傑作かもしれません。

 まず、展開が予想外であること。まさか、主人公がこのような方法でピンチを脱するとは……。その他、単純な予想を外される展開が多くありました。

 性的な描写が、極めてねちっこく長々と続く徹底ぶり。読んでいる側も行きそうで行けないもどかしさを高められます。

 文字メディアであることのメリットを引き出した描写。服の内側や身体の内部の描写は、映像メディアではなかなか描けないことです。

 リアルな男女の生理からの極度の逸脱。つまり、まったくリアルな身体を描いていません。それゆえに、ある種の世界観を持った読者に対して、極度に最適化された夢想を提供する形になります。残念ながら、私は「ある種の世界観を持った読者」には該当しなかったようですが、それでもかなり楽しめました。

 これらの特徴は、私の非常に限定されたポルノグラフィーの読書体験から見て、かなり水準の高い部類に入るように感じられます。ファンタジー系という枠組みを外しても、これだけの水準の小説はそれほど多くないのではないでしょうか?